皆さんの頭の中には「痔」の治療は「坐薬」、「便秘」には「下剤」、という短絡的図式が出来上がっていると思いますが、私はどうもこれが気に入りません。
何より大切なのは正しい排便をすることと、衛生管理で、これがいかなる薬の効果よりも勝るのですが、肛門科で使われる薬について述べてみます。
- ○坐薬
- 色々なメーカーのものが使われますが、その薬物的な内容は痛み止め、炎症を抑える作用、出血を止める作用の成分が組み合わされたものです。
ステロイドは強い抗炎症作用がありますが長期の連用は避けるべきです。
- ○内服薬
- 便通を整える目的のもの、炎症剤抗剤、抗生物質、痔静脈の血流改善剤、ビタミンEなどを疾患に合わせて用います。
- ○下剤
- 大きく分けて刺激性下剤と物理的下剤があります。
刺激性下剤は大腸を刺激して排便を強制的にさせるもので、長期に連用することは好ましくありません。
この類には、漢方薬のセンナ、大黄、アロエがあります。
一方、物理的下剤は強いて言えば野菜もこれにはいるように、大腸の内容物が増えて、これが自然な腸の動きを促し便通をつけるものです。
薬物名でいえばセルロース、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、アミティーザ、リンゼスなどです。
これらの薬剤は連用しても問題のない安全なものです。
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